今回は、パルシステム株式会社の主力製品の中で、警察資機材ついて紹介したいと思います。
警察による現場検証では、特に「状況の保存」が重要視されます。
しかし実際の現場環境は、時間経過に伴い刻々と状態が変化してしまいます。
また、特に道路上での事故については、いつもでも現場をそのままの状況にしておく事もできません。
そこで、いかに発生時の状況を正確に保存するかがカギとなります。
本システムを用いれば、事故・事件現場状況を「デジタル化 + 保存」し、いつでも正確な現場検証を
机上で実施する事ができるようになります。さらに、検証作業の効率化・省力化も図る事が可能です。
以下に本システムの一例を示します。
【1.デジタル解析図面作成システム ‘DPAMS’】
ステレオカメラ、3次元レーザースキャナ、Mobile Mapping System(MMS)等の各種計測機器で
取得した写真/測量データをインポートし、正確な2次元図面を作成するシステムです。
Fig1. 道路の2次元図化例
警視庁を含む、多くの県警察で本システムが既に導入され、日々運用されています。
近年では3次元レーザースキャナの高性能化に伴い、大規模点群(Point Cloud)データによる図化が多くなってきています。
Fig2.点群データの例(3次元内の点で空間を保存する)
本システムでは、標準的な点群フォーマットである(PTX、LAS)の読込みに標準で対応しており、
幅広いスキャナメーカの機器を利用する事が可能です。
また、構成ソフトウェアの改良・改善も積極的に行っておりますので、将来登場する多様な測定機データへ柔軟に対応できるような体制を整えております。
なお、最近ではMobile Mapping System(MMS) と組み合わせて、広範囲の道路写真を自動で連結し、図化するアプリケーションを警視庁向けで開発し、既に運用開始されています。
☆コラム MMSとは?☆
GPS、カメラ、レーダー、レーザースキャナ等の様々なセンシング機器を搭載した移動車両を利用し、空間データを収集するシステムです。
有名なものとしては、Google社のストリートビューカーもその一つです。出力データは、座標・写真・点群等多岐に渡ります。近年では、測定機器をドローンに取付けたシステムも登場し始め、様々な活用方法が検討されています。
【2.デジタルステレオ写真撮影システム “DSC”】
デジタルカメラを2機搭載したステレオカメラを使用してステレオ写真を撮影するシステムで、
前節で紹介した、”DSPAMS” ソフトウェアへ写真データを入力する事で利用します。
写真ベースで解析・図化を行う本システムの強みは、点群データでは正確に捉えきれないタイヤ痕跡等を正確にとらえる事ができる点です。
近年は3Dスキャナの小型・高性能化が進んできており、図化の入力データとしての割合が多くなってきていますが、写真ベースによる高精度な判別能力への評価は高く、現在も根強く採用され続けております。フィルムカメラ時代から続く、非常に長い歴史を持つ信頼性のある製品です。
Fig.ステレオ写真撮影システム(車両に設置)
撮影された左右ペアの写真データは、前節で紹介した「DPAMS ソフトウェア」に取り込まれます。
Fig.ステレオ写真の例
その後「3D立体視モニタ」と呼ばれる特殊なモニタへ投影され、作業者はあたかも実際の現場で作業するような感覚で図化操作できます。(モニタ内にジオラマのような3D空間が立体的に表示される)
Fig. 3D実体視モニター
画面内の道路白線や対象物をカーソルでなぞる事で、自動的に2次元図面内の対応した座標に、線を描画することができます。これにより、正確な道路状況を図面化する事が可能となります。
以上、今回紹介した製品以外でも「車間保持義務違反取締装置」「キロポスト表示器」等、非常にユニークな警察資機材の製品開発を行い、実際に採用・運用されております。
車間保持義務違反取締装置 キロポスト表示器
今後も弊社の強みである「総合力」を活用し、様々なお客様へ多様なサービス提供を続けていきます。
また、最新技術も積極的に取り入れ、サービスクオリティの向上を目指しています。
弊社内では既に、AI技術を利用した翻訳システムを開発、社内運用して作業効率向上を図っております。
最後に、この度、令和5年度 栃木県フロンティア企業へ認定され、栃木県SDGs推進企業への登録も完了しました。地域・県・国・世界の発展に、弊社がどのように貢献できるかを常に意識し、
”価値を創造する会社”を目指して日々精進しております。
会社名: パルシステム株式会社
所在地: 栃木県宇都宮市東浦町21-15
事業内容:システムエンジニアリング
URL: http://www.palsystem.co.jp/
執筆担当:技術開発部 舟山 崇広